「ホームページを作りたい」と制作会社に相談したものの、「どんなサイトにしたいですか?」と聞かれて答えに困った経験はありませんか。デザインの色や参考サイトは伝えられても、肝心の事業の強みや集客の目的を言葉にするのは意外と難しいものです。
制作前の打ち合わせで必要なのは、専門的な制作仕様書ではありません。誰に何を届け、問い合わせや予約までどう進んでほしいかを、制作会社と同じ言葉で確認することです。この記事では経営者が準備できる12の質問、記入例、相談時の伝え方をまとめました。
事業の目的・顧客・サービス・選ばれる理由・問い合わせまでの流れを整理し、未定の項目は制作会社からの提案を受ける形で大丈夫です。見た目の好みを集めるだけでは、制作後に成果を判断しづらくなります。
Webデザインが担う仕事の全体像を知りたい方は、先にWebデザインとは?見た目だけ整えても問い合わせが増えない理由をご覧ください。この記事は、考え方を実際の発注・初回打ち合わせに落とし込む実務ガイドです。
ホームページ制作のヒアリングシートとは?
ホームページ制作のヒアリングシートは、制作会社が発注者の事業・顧客・制作目的・運用条件を理解するための質問票です。見た目の希望を記録するだけの資料ではなく、ページ構成や原稿、デザイン、集客施策を決める判断材料になります。
例えば「おしゃれで高級感のあるサイトにしたい」という希望があっても、誰が訪問するのかによって必要な設計は変わります。初めて店舗を探す人なら料金と場所を、法人の担当者なら対応範囲と実績を先に知りたいかもしれません。
発注者が伝えるのは事業の事実。見せ方や技術的な方法を一緒に考えるのが制作会社の仕事です。専門用語が分からないことを気にする必要はありません。
制作会社へ伝えたい12項目|ヒアリングシートの書き方
下の質問は、そのまま社内で使えるように整理しています。まず1項目につき1〜3行で構いません。分からなければ「未定」「一緒に決めたい」と書いてください。
| 項目 | 答えておきたい質問 | 制作での使い道 |
|---|---|---|
| 1. 目的 | 新規問い合わせ、採用、来店予約など何を最優先しますか? | メイン導線と成果指標 |
| 2. 顧客像 | 具体的に誰から相談してほしいですか? | 言葉遣い・写真・掲載順 |
| 3. 顧客の悩み | 相談前によく聞かれることは何ですか? | 見出し・FAQ・記事 |
| 4. 提供範囲 | 何ができて、何は対応できませんか? | サービス紹介と期待値調整 |
| 5. 選ばれる理由 | 実際のお客様は何を評価していますか? | 強みの説明・信頼材料 |
| 6. 比較対象 | 検討時によく比較されるサービスはありますか? | 比較に必要な情報設計 |
| 7. 料金・条件 | 目安料金、追加費用、利用条件を公開できますか? | 比較時の疑問解消 |
| 8. 地域・商圏 | どこに対応し、遠方にはどんな条件がありますか? | 地域ページと検索意図 |
| 9. 証拠 | 事例・写真・資格・許諾済みの声はありますか? | 信頼性を高める情報 |
| 10. 問い合わせ | 電話、フォーム、LINEなど希望する受付先は? | CTAと受付動線 |
| 11. 更新担当 | 公開後の文章や写真は誰が変えますか? | CMS・保守範囲 |
| 12. 制約 | 予算、時期、既存URL、契約・権利で守る条件は? | 見積もりと移行設計 |
「強みが分からない」ときの考え方
強みを無理に一言のキャッチコピーへ変える必要はありません。「最近のお客様が相談したきっかけ」「契約前に不安だったこと」「依頼後に助かったと言われたこと」を時系列で話すと、具体的な価値が見つかりやすくなります。実際に寄せられた声を使うときは、原文の正確性と掲載許可を確認しましょう。
SEOとAI検索はどの質問と関係しますか?
質問2・3・4・8は、どんな人が何を検索するかを理解する材料です。質問9は実際の経験や事実を示す材料になります。ただし、記入しただけで検索順位が上がるわけではありません。内容をユーザー向けのページに反映し、公開後も改善する必要があります。
回答例|「ふわっとした要望」を具体的に伝える方法
以下は説明用に作成した架空の例です。実在の顧客の回答ではありません。
曖昧:「女性向けのおしゃれなサイト」
具体的:「初めて予約する30〜50代の方が、施術内容・税込料金・所要時間・駐車場・予約方法をスマホで迷わず確認できるサイトにしたい。施術中は電話に出られないためネット予約を優先したい」
曖昧:「信頼感があるホームページ」
具体的:「従業員10〜50名の経営者が、対応する相談内容、対応できない業務、顧問契約の範囲、相談までの流れを理解できるようにしたい」
曖昧:「施工写真を大きく見せたい」
具体的:「施工地域・得意な工事・見積もりの前に必要な情報を先に示したい。許可を得た施工前後の写真を載せ、問い合わせ時に住所と希望工事を確認したい」
【GPJ独自】質問を「事実・仮説・相談」に分けるヒアリング整理シート
株式会社Growth Partners Japanが公開しているWEB制作の考え方は、制作前に事業と集客導線を理解することを重視するものです。本記事では、その方針を3区分のヒアリングシートに整理しました。
- 事実:現在のサービス内容、問い合わせ件数、対応地域、顧客から実際に聞いた質問など、根拠のある情報
- 仮説:「写真が足りないのかもしれない」「料金が分かりにくいのかもしれない」など、まだ検証していない考え
- 相談:「どのページが必要か」「どの検索語句を狙うか」など、専門家と一緒に決めたいこと
この区分にしておくと、発注者の思い込みをそのままサイトの仕様にせず、必要な情報と検証項目を分けて話し合えます。
記事用に設計したオリジナルの実務整理法であり、他社の調査データや特定案件の成果実績ではありません。
初回打ち合わせで質問してほしいこと
制作会社には「このページの役割は何ですか」「初めて見た人は料金と相談先をどう探しますか」「公開後は何の数値を見て改善しますか」と質問してみてください。答えに対して理由や別案まで説明してもらえると、制作目的のずれに気づきやすくなります。
ヒアリングでよく起きる4つの失敗
1. デザインの好みだけで話が終わる
参考サイトは役立ちますが、色や雰囲気だけをまねても顧客が知りたい内容は伝わりません。参考ページは「どの部分を、何のために参考にしたいか」まで説明しましょう。
2. 社内の全員が違う目的を出す
営業は問い合わせ、採用担当は応募、経営者は企業理念を最優先に考えることがあります。どの目的を先に達成したいのか、最終決定者が優先順位を決めましょう。
3. 既存サイトのURLと検索流入を把握しない
リニューアルでは、今検索から訪問されているページや既存のリンクを失わないよう、URL一覧、301リダイレクト、canonical、計測の引き継ぎを確認します。新規サイトではこの作業の必要性が異なります。
4. 公開後に誰も更新できない
料金や営業時間、写真、事例を変更する担当者が決まっていなければ、せっかく作ったサイトも情報が古くなります。納品後の更新範囲・権限・保守費用まで決めておきましょう。
制作会社との打ち合わせを進める5ステップ
- 12項目を分かる範囲で記入する
- 「事実」「仮説」「相談」に分ける
- 会社案内・写真・既存URLなど、使用許可が明確な資料だけ用意する
- 制作会社にページ構成と問い合わせ導線の提案理由を説明してもらう
- デザイン案を確認する段階と、テストサイトで動作検証する段階を分ける
デザイン案が届いた後は、制作会社へデザイン修正を伝える15項目チェックリストで確認できます。初回ヒアリングとデザイン確認は別の工程として考えると、修正依頼も整理しやすくなります。
よくある質問
Q. ヒアリングシートは全部埋めないと依頼できませんか?
A. いいえ。決まっている情報と未定の項目を区別しておけば、打ち合わせで一緒に整理できます。
Q. 制作会社に売上や顧客情報を伝える必要がありますか?
A. 必ずしも必要ではありません。事業の目標を共有する際は概数や匿名化した傾向でも十分な場合があります。個人情報・秘密情報を共有するときは目的と管理方法を確認してください。
Q. 参考サイトのデザインをそのまま使ってもらえますか?
A. 構成や使いやすさを参考にすることはできますが、画像・文章・独自の表現を無断で複製することは避けましょう。
Q. ヒアリングと要件定義は同じですか?
A. ヒアリングは課題・目的・制約を確認する工程、要件定義は何を作り、どの条件を満たすかを明文化する工程です。実際の進行は制作会社によって異なります。
まとめ|制作会社に伝えたいのは「好きなデザイン」より「届けたい相手」
ホームページ制作の最初の打ち合わせでは、専門知識がなくても心配ありません。顧客の悩み、提供できる価値、相談の受け方を自分の言葉で話すことが、良いデザイン案につながる第一歩です。
Webデザインの基本的な役割やUI/UXとの違いは、Webデザインの定義を解説した基本記事もあわせて参考にしてください。
参考:Google検索セントラル「有用で信頼性の高いコンテンツ」/W3C WCAG 2.2/GPJの公開制作方針。制作・編集:株式会社Growth Partners Japan。確認日:2026年10月29日。
